「Gulp」の次のマイクロプラスチック対策を目指す洗濯機開発へ / Matter

Matterのチームメンバー 海洋汚染対策
Matterのチームメンバー

洗濯機から排出されるマイクロプラスチックを捕捉するフィルター「Gulp」で注目を集めたいイギリスのMatter社。その革新的な技術と今後の展望について、詳しく見ていく。

Matter社のチームメンバー

マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下の大きさのプラスチック片のことである。合成繊維の衣類を洗濯するときに、約1回で1万個以上ものマイクロプラスチックが発生する。海洋に流出するマイクロプラスチックのうち、35%は合成繊維由来との統計もある。これらのマイクロプラスチックは、洗濯水とともに下水道に流れ込み、処理場で除去されることなく、海や河川に到達する。そして、魚や貝などの海洋生物に取り込まれたり、飲料水や食品に混入したりして、人間の体内にも侵入する。マイクロプラスチックは、有害な化学物質を含んだり、ホルモンの働きを乱したりする可能性があり、環境や人間の健康に深刻な影響を及ぼす問題となっている。

日本経済新聞記事より抜粋 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO50001040Z10C19A9X12000/

そんなマイクロプラスチックの問題に挑戦したのが、イギリスのスタートアップ企業Matter社である。同社は、洗濯機に取り付けることで、マイクロプラスチックを捕捉するフィルターを開発した。このフィルターは、特許取得済みのメッシュ素材を使用しており、5マイクロメートル(0.005ミリメートル)という非常に小さなサイズのマイクロプラスチックも捕らえることができる。また、このフィルターは、簡単に取り外して洗浄することができるため、再利用可能である。さらに、このフィルターは、洗濯機の性能や洗浄効果に影響を与えることなく、水圧や水流量も調整できるように設計されている。

Matter社は、このフィルターを「Gulp」という名前で個人消費者向けの市場に投入しました。Gulpは、個人向けの製品としてオンラインで販売されており、多くの消費者から好評を得ている。また、Matter社は、Gulpを使って収集したマイクロプラスチックのデータを分析し、その情報を公開することで、消費者や研究者に対して啓発活動も行っている。

Gulpの商品紹介画像

Matter社は、Gulpで成功した後も、次なるチャレンジに向けて動き出している。同社は、2023年8月にラウンドAでS2G VenturesとSOUNDWaves の主導により1000万ドル(約11億円)の資金調達を行った。

この資金は、Gulpの技術を産業用に拡大するために使われる。具体的には、ランドリーやホテル、病院などの業務用洗濯機に対応したフィルターの開発や、大規模な洗濯施設に対応したフィルターの設置を目指している。これらの施策により、Matter社は、マイクロプラスチックの排出量を大幅に削減することができる。また、Matter社は、自社の技術を他の産業や分野にも応用することを検討している。例えば、飲料水や農業用水などの水質改善や、海洋生態系の保護などである。

Matter社に有利な流れは政策面でも動いている。フランスで2020年に公布された循環経済法では、「2025年以降に販売される洗濯機へのマイクロファイバー回収用のフィルターの設置を義務付け」が記載されている。日本も含めた先進国を中心に同様の法律を検討中の国は複数あり、本分野が世界的に注目されるタイミングは近いはずだ。

まさにMatterが開発したようなフィルターが無ければ、洗濯機が販売できないような事態がすぐに来ているのだ。 改めて、Matter社は、マイクロプラスチックの問題に対して、実用的で効果的な解決策を提供している。同社のフィルターは、環境に優しく、コストも低く、使いやすいという特徴を持っている。マイクロプラスチックの問題を解決するだけでなく、持続可能な未来を創造するために挑戦し続ける企業である。

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